Rectoly が Windows と Mac で使えるようになりました
Rectoly for Mendeley と Rectoly for Zotero が Windows と Mac に対応しました。購入は1回で、パソコン・タブレット・スマートフォンのすべてで使えます。デスクトップ版でできること、できないこと、価格をまとめます。
Rectoly は、Mendeley と Zotero のライブラリを iPad で読むためのリーダーとして始まりました。2026年9月21日から、両方の版が Windows と Mac でも動きます。購入は1回で、同じアカウントでサインインしたすべての端末に適用されます。
この記事は、今回のリリースの中身を飾らずに書いたものです。デスクトップ版が何のためのものか、注釈をどう扱うか、いくらなのか。動いている画面は製品ページrectoly.com/desktop にあります。
Rectoly は何で、何ではないか
Rectoly はリーダーです。Mendeley または Zotero のアカウントでサインインし、ライブラリをパソコンに取り込み、それぞれの論文を「ページを表示する」のではなく「じっくり読む」ための画面で開きます。文献管理ソフトではなく、そうなろうともしていません。ライブラリは今ある場所に置いたままで、Rectoly で付けた印はすべて、通常の Mendeley 注釈・Zotero 注釈として書き戻されます。
Mendeley にも Zotero にも、デスクトップにはよくできた PDF リーダーがあり、多くの読書にはそれで足ります。Rectoly が受け持つのは、PDF と原稿のあいだにある仕事です。精読すること、論文どうしを比べること、引用する箇所を抜き出すこと。パソコンはそれを書く場所でもあるので、そこに置きました。
読む: 論文を、画面のために組み直す
2カラムは紙のための組み方です。Rectoly は論文の構造を読み取って1カラムに組み直します。図は最初に言及された場所に、数式は全幅で、ページのヘッダーとフッターは取り除いて。片側に組み直した本文、もう片側に原文の PDF ページが並び、読み進めると PDF 側も追従します。ワンクリックで PDF の同じ箇所へ移れます。
そこから続くことがいくつかあります。
- 2本目の論文を隣に開けます。ページ、拡大率、注釈はそれぞれ別々です。同じ論文を2つ開いて、
片方に本文、もう片方に図を出すこともできます。
- [12] のような引用番号にポインタを合わせる(またはクリックする)と、読んでいる場所を離れず
にその文献の情報が出ます。「Fig. 3」への言及からは、スクロールで戻らずに図を呼び出せます。
- PDF に目次(しおり)がないときは、論文の内容から目次を推定し、推定であることを明示します。
考える: 注釈を、すべての論文を横断して
組み直した本文の上で、そのままハイライト、下線、メモ、手書きができます。一文に印を付けるためだけに2カラムのページへ戻る必要はありません。どの注釈も PDF 上の実際の位置に置かれるので、通常の注釈として Mendeley や Zotero に同期されます。
注釈がパソコンの上にあるので、まとめて検索できます。パソコンにあるすべての論文の本文と注釈を一度に検索でき、結果からそのページが開きます。複数の論文から Methods、Results、Limitations などの節を抜き出して、1論文1行の比較表にまとめることもできます。PDF にもともとある構造を読み取るだけで、AI は使わず、どこにもアップロードしません。
長いプロジェクトのためには「研究テーマ」があります。研究上の問いごとに、プレーンなMarkdown のノートを1つ、論文の横に開いておけます。ショートカットひとつで一節をノートへ送り、断片を「主張」「根拠」「反論」のあいだでドラッグして整理し、断片の上で Enter を押せばその出どころの一文へ戻ります。
書き出す: 書く場所へ、そのまま渡す
Rectoly は、もうひとつのエディタにはなりません。読んだものが書く場所(Word、LaTeX、Obsidian、文献管理ソフト)に届くところまでが役目です。
- 組み直した本文からコピーしても、印刷上のページ番号が付いてきます。「PDF の5ページ目」
ではなく「p. 312」。BibTeX と citation key もワンクリックでコピーできます。
- ハイライトを、論文の節ごとにまとめた Markdown として書き出せます。引用文にはそれぞれ
citation key とページ番号が付き、ほかのツールで使える CSL-JSON も一緒に出力します。
- すべての図を PNG、すべての表を CSV で書き出せます。1本の論文でも、まとめて何本でも。
表をコピーすれば、Excel に画像ではなくセルとして貼り付けられます。
- 研究テーマは Markdown または Word ファイルとして書き出せ、引用した論文から参考文献リスト
が作られます。Obsidian のフォルダに、citation key を名前にしたノートを論文ごとに自動で保つこともできます。
- 書いている .docx、.odt、Markdown のファイルを、読んでいる論文の隣に開けます。保存する
たびにプレビューが追従します。
- 論文のノートを Mendeley や Zotero のその文献のノートとして送り返せます。ハイライトと
手書きを描き込んだ、誰でも開ける PDF として書き出すこともできます。
タブレットの手書きを、パソコンで
iPad でペンを使って読んでいるなら、その線が Windows や Mac の Rectoly でも、ページの同じ位置に表示されるようになりました。ただし、どうやってそこに届くかはライブラリによって違い、その違いは重要です。
Zotero 版では、PDF ページ上の手書きは Zotero のインク注釈として同期されるので、Zotero本体のリーダーでも表示されます。組み直した本文の上に書いた手書きにはページ座標がないためZotero の注釈にはなりませんが、Rectoly が自ら運び、ほかの端末の Rectoly でも同じ本文の上に描き直します。
Mendeley の注釈形式には、手書きの種類そのものがありません。Rectoly for Mendeley は手書きを論文と一緒に保存し、Rectoly を入れた端末から端末へ自ら運ぶので、パソコンでも表示されます。Mendeley 自身のビューアには表示されず、これは Rectoly のアップデートでは変えられません。
ハイライト、メモ、付箋はこれまでどおり、どちらのライブラリでも通常の注釈として同期されます。詳しくは Zoteroは、iPadで付けた注釈をどう扱うか とMendeleyのPDFにiPadで注釈を付ける に書いています。
同じリリースで: Zotero の WebDAV に対応
Zotero の添付ファイルを Zotero Storage ではなく WebDAV サーバーで同期している場合も、Rectoly が使えるようになりました。すべてのプラットフォームで有効です。Zotero ユーザーからいちばん多く寄せられた要望で、これまで Rectoly を試せなかった理由でもありました。
価格と、含まれるもの
- 14日間、すべての機能を無料で使えます。その後は買い切りで、Rectoly for Mendeley が
$49.99、Rectoly for Zotero が $19.99。サブスクリプションはありません。
- 一度買えば、同じ Mendeley アカウントまたは Zotero アカウントでサインインしたすべての
端末(Windows、Mac、iPad、iPhone)で使えます。すでに iPad や iPhone で購入済みなら、Windows 版と Mac 版は含まれています。サインインすれば解放されます。
- 2つの版は別々のアプリで、それぞれ個別の購入です。
- Windows 10 / 11(64ビット、Arm 版 Windows 11 を含む)。macOS 14.6 以降(Apple シリコン・
Intel 搭載 Mac)。どちらも rectoly.com/desktop からダウンロードできます。
- ウェブサイトでの決済は Paddle が取り扱います。大学や研究所の経費で購入する場合は、
購入時に機関名・住所・税番号を入力すると、その宛名で請求書・領収書が発行されます。ウェブサイトでの購入は、14日以内なら全額返金します。
- Linux 版はありません。Android 版(スマートフォン、タブレット、E Ink 端末)は 2026年10月
の予定です。
まずはここから
rectoly.com/desktop からダウンロードし、ライブラリのあるアカウントでサインインして、2カラムの論文を開いてみてください。最初に試すなら読書モードです。ほかのことはすべて、そこから続きます。
この記事に書いたとおりに動かないことがあれば、あとで気づかれるより先に教えていただけると助かります。連絡先は使い方ガイドにあります。