MendeleyをiPadで読む方法【2026年版】
MendeleyにはiPad用の公式アプリがありません。2026年現在、MendeleyのライブラリをiPadで読むための選択肢と、それぞれが何に向いているのかをまとめました。
多くの研究者が、文献ライブラリをMendeleyに置いています。そして実際に論文を読むのは、iPadの上です。この2つを繋ぐのは見た目ほど簡単ではありません。MendeleyにはiPad用の公式アプリがないからです。
この記事では、何が変わったのか、2026年現在どんな選択肢があるのか、そしてそれぞれが何に向いているのかを扱います。Mendeleyから離れることを勧める記事ではありません。ほとんどの人にとって、ライブラリは今の場所にあるべきです。問題は、読むという部分だけをどう楽にするか、です。
Mendeleyのモバイルアプリに何が起きたか
Mendeleyは2021年3月15日にモバイルアプリの提供を終了しました。同日にApp StoreとGoogle Playから撤去され、アプリへのサインインもできなくなりました。利用者には事前にライブラリをクラウドへ同期するよう案内があり、以降はMendeley Reference Manager(デスクトップ版またはウェブ版)を使う形になっています。当時の告知は現在もMendeley公式ブログに残っています。
変わったのはそれだけで、以下の話はすべてここから始まります。より詳しい経緯 — 何が告知され、実際に何が変わり、なぜその後も空白が埋まらなかったのか — はMendeleyのモバイルアプリはどうなったのかにまとめました。
iPadで論文を読む人にとって、これは何を意味するか
ライブラリに辿り着くこと自体は難しくありません。ウェブ版は他のサイトと同じようにSafariで開きます。引っかかるのはその次 — 論文を「読むために作られたもの」で開く、という段階です。
iPadで読む価値は、いくつかの具体的な点にあります。前回の続きから開くこと。Apple Pencilで、別ファイルではなく余白そのものに書き込めること。2本の論文を、モニタを増やさずに並べられること。
つまり問題は「iPadが論文を読むのに向いているか」ではありません。Mendeleyのライブラリから、その論文がどうやってiPadに届くのか。そして届いた後、書き込んだ注釈がどこへ行くのかです。
2026年現在の選択肢
| 選択肢 | 得られるもの | 主な制約 |
|---|---|---|
| ウェブ版Mendeley | ブラウザさえあればライブラリを開ける | 読み心地そのもの |
| PDFを別アプリにダウンロード | 読み方を自由に選べる | ファイルの手作業管理 |
| サードパーティアプリ | ライブラリと繋がったまま読める | アプリによる |
| Rectoly | ライブラリと繋がった、iPad向けの読み心地 | 有料(買い切り) |
Safari/ウェブ版
MendeleyのライブラリをSafariで開き、PDFをブラウザ上で読みます。何もインストールせずに済み、「じっくり読む」より「ざっと確認したい」論文への最短経路です。
一方で、オフラインでは使えず、Apple Pencilのための本格的な注釈レイヤーもなく、専用アプリのように読んでいた位置を次回まで覚えておいてもくれません。
PDFを別アプリにダウンロードする
ライブラリからファイルをダウンロードし、iPadのPDFリーダーで開きます。3つのうち読み心地と注釈機能は最も優れていて、通信がまったくない場所でも使えます。
代償は管理の手間です。論文ごとに手作業のダウンロードが発生し、注釈を書き込んだコピーはライブラリではなくリーダーアプリの中に残ります。数か月後には、目録に載っているコピーと、自分が書き込んだコピーが、別々のファイルになっています。実際の操作手順は、iPad側・パソコン側の両方をMendeleyのPDFをiPadに取り込む手順にまとめました。
サードパーティアプリ
Mendeleyアカウントに直接サインインできるiPadアプリもあり、この場合はファイルを1本ずつダウンロードしなくてもライブラリが端末に現れます。そのひとつがPaperShipで、iPhone・iPad・MacでMendeleyとZoteroのライブラリに対応しています。現在もApp Storeに掲載されており、バージョン履歴を見ると最新リリースは3.8.5、2019年11月です。
この日付は気に留めておく価値があります。この種のアプリは、片側で文献管理ツールのAPIに、もう片側で毎年更新されるモバイルOSに追随し続ける必要があります。最終更新がいつかは、そのアプリに何を期待できるかをかなり教えてくれます。どの種類の注釈がライブラリに書き戻されるかも同様です。どちらもApp Storeの掲載ページで確認できるので、この分野のアプリに日々の作業を預ける前に目を通しておくといいでしょう。
本当の問題:ライブラリと、読む場所が別にある
上の選択肢はどれも、同じひとつの隙間を埋めるための方法です。ライブラリの中身を知っているのはMendeley。実際に読むのはiPad。この2つを自動で繋ぐものがないので、繋ぎ役は自分になります — ダウンロードし、整理し直し、どのコピーに自分の書き込みがあるのかを覚えておく。
解くべきなのはそこです。ライブラリではありません。ライブラリと、読む場所のあいだの距離です。
Rectolyはどこに入るか
RectolyはiPadとiPhone向けのアプリで、Mendeleyアカウントにサインインするとライブラリが端末に取り込まれ、論文が読むために作られたリーダーで開きます。Apple Pencilでの注釈、2本の論文の並列表示、そして前回読んでいた位置の保持。ハイライト・ノート・付箋はiPadとMendeleyのあいだを双方向に行き来するので、注釈を書いたコピーと目録に載っているコピーは、同じ1つのファイルのままです。iPadに届いたPDFを、その場からライブラリに追加することもできます。デスクトップに戻るまで待つ必要はありません。
Rectolyは意図してリファレンスマネージャではありません。ライブラリの置き場所も、引用の出どころも、グループやフォルダも、Mendeleyのままです。Rectolyは同じワークフローの「読む側の端」であって、もうひとつ管理する場所ではありません。
よくある質問
2026年現在、Mendeleyの公式iPadアプリはありますか?
ありません。Mendeleyのモバイルアプリは2021年3月に提供終了となりました。現在Mendeleyが提供しているのは、デスクトップまたはブラウザで動くMendeley Reference Managerです。
Mendeleyからライブラリを移す必要がありますか?
ありません。この記事で扱っている方法はすべて、ライブラリがMendeleyに残っていることを前提にしています。読む場所が別になるだけで、ライブラリは動かす必要がありません。
MendeleyのPDFをiPadでオフラインで読めますか?
ウェブ版では読めません。通信が必要です。オフラインで読むには、ファイルが端末上にある必要があります。手作業でPDFリーダーにダウンロードするか、ライブラリと繋がったアプリに同期させておくかのどちらかです。
iPadで付けた注釈はMendeley側に反映されますか?
Rectolyの場合、ハイライト・ノート・付箋・その他のPDF注釈はMendeleyのライブラリに書き戻され、注釈として表示されます。逆方向も同じで、以前Mendeley側で付けた注釈は、iPadで論文を開いたときにそのまま見えます。どちらで変更しても、同期のタイミングでもう一方に届きます。唯一の例外がApple Pencilの手書きです。MendeleyのAPIには手書きのストロークを表現する仕組みがないため、手書きはiPad側に残ります。
同期は自動で走り、手動で実行することもできます。オフラインで付けた注釈は端末に保存され、次にオンラインになったときに送られます。2台の端末の内容が衝突したときや、想定以上に注釈が消えようとしているときなど、様子がおかしい場合は、黙って処理せずRectolyがユーザーに知らせます。
iPad側からライブラリに論文を追加できますか?
できます。iPadにあるPDFをRectolyで開いてMendeleyのライブラリに追加できるので、外出先で手に入れた論文が、次にデスクトップアプリを開くまでダウンロードフォルダに置き去りになることがありません。
おわりに
ライブラリの管理はMendeleyで続けたい。でも論文を読むのはiPadがいい。そういう場合、目指すべきはリファレンスマネージャの置き換えではありません。そのワークフローのうち「読む」部分を楽にすることです。
Rectolyは、その問題を解くために作りました。